社会の未来を考えたいブログ

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法律が無ければしてもいい、処罰されなければ大丈夫という考え方

社会には、浅ましい考え方をする人が多くいます。中でも目立つのが「法律が無い、法律に違反していない、法律を無視しても処罰されない、現在の法律では処罰できないからOK」という、考え方です。例えば、フリマサイトで現金を売る、著作権者に無断で作品をインターネット上にアップロードして営利利用する、政治家に対して「死ね」などと暴言を吐く、消費者向けの商品を買い占めて転売する。これらは現代社会の価値観にそぐわない事だと思います。

 

法律だけを善悪の基準にしてしまうのは、とても危険です。法律とは過去に起こった出来事を根拠にして定められる場合が多いですが、人間は現在に生きています。人生はマニュアル通りにいかず、往々にしてイレギュラーな事態が発生します。その時に目先の利益に釣られて「犯罪にはならないし良いだろう」という考えでは、ある意味で動物にも等しいような存在として見られるかも知れません。実際に、そういった言動で社会的信用を失う人や団体は多くあります。最近では、相撲協会漫画村・転売屋・社会運動家など、法律違反ではないにせよ常識や道徳を欠いた不祥事で信用を落としたりしますし、また未来において刑事事件や民事事件・社会的制裁が有り得ないとは言い切れません。その言動に不愉快さを感じたり迷惑を被る人が増えれば、法律ないし不法行為として痛烈な社会的制裁を受ける可能性は高くなります。

 

また、心肺停止した女性にAEDの処置を行う為に服を脱がせた男性が強制わいせつで訴えられる、というデマがツイッターを中心に広まりましたが、これに対して意見を表明した人の多くは「法律の方がおかしい」と考えたようです。実際の法律の運用としては、救命行為として認められる場合に強制わいせつの要件は満たさないという見解を述べる弁護士が多いようですから、現実において何らかの処罰があるわけではありません。

 

障がい者の就労の現場では、昨年から「就労継続支援A型事業所」について、厚生労働省による大きな方針転換があり、話題になりました。補助金目当てで設立された存在意義の無いA型事業所が大変に多かった為に、厳しい指導が入りました。これは「法律で処罰されない」という考えに基づいて数年に渡って蔓延していた問題で、現場を知っていればもっと早く対応できたのではないかと思います。常識的に考えておかしい話が、必ずしも法律で規制されているとは限らないという、典型的な事例です。

 

善悪という観念は、人間らしさを考える上で重要だと思います。社会に生きる上で、自分で決断しなければならない局面において、必ずしも法律が何とかしてくれるわけではありません。法律はドラえもんではないのです。22世紀の法律でなら解決するかもしれませんが、私たちは21世紀に生きる人間ですし、民主主義社会では法律に対して最終的な責任を持つのは国民です。21世紀の法律は現在に生きる私たちが決めるのであって、天や未来から法律が降っているのではないのです。

 

何事にも、浅知恵で生きている自分が賢いと思い込んでいる人はいるものです。上辺だけ取り繕って、本質を何も分かっていない、自分を疑って反省する習慣のない人は、いずれ周囲にとっては関わってはいけない人になるでしょう。人間は法律の奴隷ではありません。そういう人にならないよう、気を付けたいものです。